2008年9月24日水曜日
わたしだって猫である。
カフェでパソコンを開いていると、さっとリョーシ猫が寄ってきて言うのだった。「というわけですよ。」というわけですよって……? とわたしは訊きたいのだが、そういう思いを額に浮かべている間にも、リョーシ猫は姿勢を変えて、口元にやや笑いを浮かべていないとも言い切れない表情で、「というわけですよ。」とたたみかけてくるではないか。
それまでキーボードを打っていた私の両手は、宙に浮いたまま所在なくポーズしている。
「というわけですから。」と、リョーシ猫が言った。もしかして、それで話を切り上げて立ち去ってくれるのだろうか? そう言うわたしの額には、今度はもうはっきり「?」と書いてあったと思う。ところが意外にもリョーシ猫は、その太い前足で、自分のせまい額をぬぐって言った。「いや、どうも。」
「は?」
と私は声に出して言った。
「いや、どうもわからんですよ。さっぱり。」
「はあ」
「リョーシは世界を変えると思いますか?」
「もちろん」
「よかった」
リョーシ猫は額を倍に広げて、心底うれしそうにしっぽをひと振りしてから、あっという間に去っていた。
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