
「朝から理屈を言うようだけどさ」
とリョーシ猫は言った。
「うしくんとかえるくんのどっちがつっっこみでどっちがボケかなんて、言えないだろ?」
私はここはだまって聞くことにした。
「うしくんがぼけで、かえるくんがつっこみで、かえるくんがぼけると、なんて考えてたら、できるわけないんだよ。」
「ああ、そこには腹話というフィクションがないですものね。」
「そうだよ。」
とリョーシ猫は満足げに言った。
「漫才にたとえて言うから、おかしいことになるんだ。」
そう言って、前足で2回、ひげをなぞる。
「それに、かえるがかみつくなんてヘンなんだよ。かえるはかみつかないよ。」
リョーシ猫は自分の今言ったことばを追いかけるように、ちょっと天井を見上げた。まるで蠅でも追うように。
「あんなふうにかみつくのは──猫なんだよ」

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